水のことのは



【 雨 】  【 潤す 】  【 立ちのぼる 】 

■ 立ちのぼるの章 


季語 1   霞み立つかすみたつ
霞の語源はかすかとも。霞立つ、霞たなびくなどといわれ、春のあいや霧を美しく言うときの文学的な表現。
朝霧、夕霧、春霞、山霞などもある。


季語 2   春のほだしはるのほだし
ほだしとは自由を妨げるものを言う。
霞が春を蘢めてつなぐというところから、霞のことを春のほだしと言う。。


季語 3   霞錦かすみにしき
中国では、霞は日に照らされた赤みをおびた雲気のこと。


季語 4   朧夜おぼろよ
霞は朝から午後までで、夕闇がおりてくるとおぼろと使いわける。
「おぼろ月夜は山のに、ほろ、ほろと、戸をいずる、兄様あにさまなみだの村雨」と情緒いっぱいの朧夜となる。


季語 5   霧の雫きりのしずく
霧は地表に達したもので、風景が白くかすむ。
そのなかを歩くと、衣服がしっとりと濡れる。さながら露をうけたようで、霧の雫と美しく表現される。


季語 6   霧迷うきりまよう
心が憂え迷うさまを霧迷うと言う。


季語 7   山敷きやましき
山一面、敷きつめるかのように降る霧を山敷きと言う。


季語 8   霧虹きりにじ
霧が晴れていく朝、忽然と現れる霧虹は幻想的な白い虹である。雲虹とも言う。
雨粒、雲粒が小さく、散乱が加わって白色の虹になる。


季語 9   八雲やくも
幾重にも雲がかさなるさまを八雲と言う。
八雲立つは勢いよく雲が立ちのぼること。


季語 10   東雲しののめ
朝日は地に届く前にまず雲を染める。
まだ人影の見分けもつかないころ、雲の下側だけうっすらと赤らむ。あかつき雲、そのあと東の空は少しずつ赤みを増す。この雲が東雲である。


季語 11   雲見くもみ
雲の形は千差万別。ひとつとして同じものはない。
雲を見て楽しむことを雲見と言う。


季語 12   帽子雲ぼうしぐも
富士山は、帽子をかぶって気分転換をするおしゃれな山である。古い時代の命名は笠雲。