草木のことのは



【 春 】  【 夏 】  【 秋 】  【 冬 】 

■ 夏の章 


季語 1   いずれは菖蒲か杜若いずれはあめやめかかきつばた

アヤメ・カキツバタ・ハナショウブは、いずれもアヤメ科アヤメ属の植物で、よく似ている。
この混乱状態を、いずれは菖蒲か杜若といった。

季語 2   かんむりの花かんむりのはな

カーネーションは、古代ギリシアで花のかんむりにする神聖な花です。
かんむりはコロナ、そこからコロネーションになり、カーネーションに転じたという。

季語 3   茨の花いばらにはな

バラは茨が言語で、古くはウバラ、万葉集ではウマラといわれた。

季語 4   面影草おもかげぐさ

ヤマブキの花は、鮮やかな黄色です。
名前のいわれは山春木やまはるきからの転とする説が絵画的で美しい。

季語 5   日輪草にちりんそう

ヒマワリは日輪草ともいう。
日輪は太陽。ギリシャ神話のニンフ、クリュティエーの話は切ない。ゴッホはひまわりの絵に魂を投じた。

>季語 6   百花の王ひゃっかのおう

ボタンは中国の牡丹の音読。 唐の即天武后は権勢をほしいままにした女帝だが、雪見の宴で白一色の庭に飽き足らず「直ちに咲け」と百花に命じたが、百花の王ボタンだけは従わなかったという。

季語 7   花の宰相はなのさいしょう

シャクヤクは百花の王ボタンと並び称されて、花の宰相と呼ばれる。

季語 8   花笑みはなえみ

花笑みは、ゆりの花が開くときのノーブルなさま。
ひとりゆりの花だけにいい、他の花には使わない。

季語 9   藤浪ふじなみ

フジの花房が風になびくと、波のように動くさまをいう。

季語 10   花筐はながたみ

花を摘んで入れる籠を花筐という。

季語 11   花色衣はないろごろも

月草、ほたる草、うつし草などとよばれるツユクサは青い小花。
花は染料として使用した。ツユクサ染めの衣は、花色衣といわれた。

季語 12   忍ぶもじずりしのぶもじずり

ネジ花は、コヨリのようにねじれた花のさま、心の乱れを詠み込む花とされた。
忍ぶもずじりの名は、陸奥国信夫郡産の布の捩摺もじずり模様に似ているからという。

季語 13   花のうつろいはなのうつろい

花は豊かなイメージに包まれ、「佳きもの」の代表として扱われることが多い。
そのいっぽうで、散る運命に縛られたうつろう命でもある。花心はうつり気を意味する。

季語 14   四葩よひら

アジサイは花の色が徐々に変わるので七変化の名がある
全体の形から手毬花ともいい、四葩は一つの花の形からついた名。

季語 15   花のかんばせはなのかんばせ

花のように美しい顔を花のかんばせという。

季語 16   一蓮托生いちれんたくしょう

一蓮托生とは、極楽往生をとげたあと、一枚のハスの葉の上に仲良く実を託すこと。

季語 17   未草ひつじぐさ

水もに浮かぶスイレンは、一日のうち半分は開き、半分は眠る幻想的な花です。
日本古来の種は、午後二時ごろ、末の頃に咲くの末草とよばれる。

季語 18   末摘花すえつむはな

花から紅をとるベニバナは、紅ともよばれる。
茎の先に花がつき、咲いた順に先端だけ摘みとるので末摘花の名がある。

季語 19   牽牛花けんぎゅうか

朝顔のまたの名は牽牛花といい、陰暦の七夕ごろ咲くのでこの名がある。

季語 20   爪紅つまくれない

ホウセンカは爪紅ともよばれる。
女の子が花びらで爪を赤く染めて遊んだことから、この名がつく。