冬のことのは




冬 の 章 V


季語 1     松の内 (まつのうち)

〔七日正月・小正月〕

一般には元旦から七日までが松の内ですが、地方により十五日までを一連の祝日と考え、十五日までを”松下がり”にしている地方があるようです。
門松を取り払うのが松納めとか松送りと言い、外された門松や注連縄(しめなわ)は、
一五日の”どんと”の火で焼きます。


季語 2   初日 (はつひ)

初日

〔初陽・初日の出・初日影・初旭〕

新年が改まり、山に登ったり海に出かけ、初日を拝む風習は古くからありました。
東雲を茜色に染めて現れる日の出には、外気の冷たさも伴って、ある厳しさを覚えるものです。
また、初日の出前の曙の光を「初光り」といいます。



季語 3   寒の入り (かんのいり)

〔小寒・寒九・寒の内〕

冬至の日から数えて15日目が小寒で、この日から寒に入る。
まだ松の内の1月4、5日頃で、小寒15日・大寒15日と続き、寒は立春の前日までの1ヶ月になる。
一年中で最も寒い時期になる


季語 4   寒暁 (かんぎょう)

〔厳寒・極寒・酷寒〕

同じ季語の「冬の朝」は日の出から、太陽が随分と昇る午前中の幅広い時間の感覚があるが、「寒暁」となると日の出間際で、寒の一日の内でも最も寒さの厳しい時刻になる。
東雲の時刻を「暁」と言われるようです


季語 5   霜の衣 (しものころも)

〔霜日和・霜の剣・霜夜〕

まるで薄衣をうち敷いたように、一面に白く霜の降りた眺めを霜の衣という。霜畳ともいう。
気温が上がればたちまち解ける、つかの間の薄化粧である。
「霜日和」は降霜をみた日は晴天になり「霜晴れ」ともいう。


季語 6   冬ざれ (ふゆざれ)

初日

〔枯れ野・冬枯れ〕

冬の荒れてさびれた姿を「冬ざれ」という。
「枯れ野」の空はどんよりと曇り、見渡す限りの「冬枯れ」の野は枯れて生気を感じさせない様子で、春の「花野」とは対照的な寂しさです。



季語 7   大寒 (だいかん)

〔寒波・寒の水〕

二十四節季の一つで、一年中で最も寒さの厳しい時期。日本付近を低気圧が通過し、東の海上に抜けた後、シベリア大陸から流れ出す寒気が寒波となる。日本海側に大雪をもたらす。


季語 8   寒夜 (かんや)

〔寒暮〕

寒さの厳しさをことさら強調する、寒中の夜を主に言います。
露出した鼻や耳、手先には痛みを感じる寒さを覚えます。


季語 9   深梅 (かんばい)

〔寒梅』〔寒椿〕〔寒桜〕

早咲きの冬の梅を尋ねる心。
早梅を求めて山野を逍遥(しょうよう)する。


季語 10   日脚伸ぶ (ひあしのぶ)

〔日脚伸びる〕

雲間や木立の間から差す日光を脚に見立てたことば。


季語 11   冬尽く (ふゆつく)

〔冬終わる〕〔三冬尽くす〕

長い陰鬱な冬が終わるの意を込めた季語です。
冬は普通、初冬、仲冬、晩冬の三つに分けていますが三冬の方は古くから、神無月、霜月、師走のことを差す。


季語 12   冬の名残り (ふゆのなごり)

〔冬の別れ〕〔冬送る〕

やがて来る春の喜びの中で、なお続く冬の余韻を楽しむかの語感がある。
冬の別れや冬送るは、〕擬人法を使って、人間のところに引き据え哀惜を表した季語。


季語 13   春隣 (はるどなり)

〔春近し〕〔春待つ〕

一般的には「春近し」にくくって扱われる。
しかし、春近しにはない空間的な春が見える。